先物取引やオプション取引、デリバティブ取引などで、通常の取引(前場+後場)に続いて行われる夜間取引のことで、夕場、ナイト・セッションとも言われます。終日取引化の先駆けとなった取引です。
東京金融先物取引所(TIFFE、現東京金融取引所=TFX)が1991年12月に夜間取引を導入し、1998年に取引時間を延長し、その後対象取引取引も拡大しています。また、大阪証券取引所(現大阪取引所)は2007年9月に株価指数先物・オプション取引でイブニング・セッション(夕場)を開始した後、2008年10月、2010年7月と取引時間を延長し、2011年7月に取引終了時刻を翌朝3時に変更すると同時に、名称をナイト・セッションに変更しました。
江戸時代の大坂堂島米会所の取引において、後場に続く「こそ」と呼ばれる大引け後に非公式的に密かに行われた取引がありました。「こそ=こっそり」という名前が表現している通り、「私的」な取引であったと思われます。北越逸民という幕末の人が書いた「八木のはなし」によれば、「こそ」は「天災にて相場の大高下する時をもっぱらとする相場にて、多分正米・帳合の商人どもつなぎにする相場なり」と解説されています。これこそが夜間取引の核心です。つまり、昼夜を問わず、市場に時々刻々ともたらされる情報を直ちに取引に反映させなければならないという市場参加者の強烈なリスク意識です。これが、「こそ=こっそり=非公式」だったものが「公式」になり、夜間取引として現在にも引き継がれているのだと思われます。
証券取引所で、現物取引に夜間取引が導入されないのは、先物が現物の受け渡しを必要とせず、最終的に建玉を清算すればよいのに対して、現物では個別取引の清算が求められるために、夜間取引は非合理的・非編実的と判断されたからだと思われます。堂島では現物でさえも個別清算は行われていなかったので、夜間取引が可能だったのでしょう。